下水管を通って、水循環センターに運ばれてきた下水は、どのようにきれいになるのか、順を追って説明
します。 |
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(写真)水処理施設(5系)
写真手前から順に最初沈殿池→反応タンク→最終沈殿池→塩素混和池と並んでいます。
写真手前左側に写っているのは脱臭設備です。 |
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(図)処理フロー |
沈砂池(ちんさち) |
下水管で運ばれてきた下水は、一番はじめにこの池に入り、下水中に含まれる砂やゴミを取り除きます。
下水の中には、たくさんの砂やゴミが入っていて、このままの状態で、下水を処理をしようとすると、施設内の機械が壊れてしまうことがあるので、この池で砂やゴミを沈めて取り除いています。
下水は地下に埋められた下水管により水循環センターまではこばれます。下水管はわずかに傾斜がついていて、水が高いところから低いところに流れる原理(自然流下)を利用しています。このため下水管は下流に行くほど地下深い場所を通ることとなり、水循環センターに到着するときには、地下約10mの深さになっています。 |
◆沈砂池に設置されている設備 |
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し渣除去装置(しさじょきょそうち)
沈砂池に入る手前には、スクリーン(金属製の網)があり、大きなゴミを取り除きます。スクリーンで取り除かれたゴミは、水で洗った後に、コンベヤではこばれ、地上にあるホッパ(容器)にためられた後、定期的に処理場内にある焼却炉で焼却されます。
沈砂除去装置(ちんさじょきょそうち)
沈砂池に入ってきた下水はゆっくりと流して、砂などの重いものを沈めて取り除きます。
砂は掻寄機(かきよせき)により一箇所に集められ水で洗われます。その後、コンベヤで運ばれ、地上にあるホッパ(容器)にためられた後、定期的に最終処分場で埋め立て処分されます。
脱臭設備(だっしゅうせつび)
池に流れる下水は、処理していないため臭いが強く、このまま外へ空気を放出すると悪臭の原因となります。このため、沈砂池内の空気を集めて脱臭処理(臭いを消してから)してから外部に放出します。 |
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(写真)最初沈殿池入口に設置されているスクリーン
金属製の網にゴミを引っ掛けて取り除きます。 |
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(写真)最初沈殿池に設置されている掻寄機
最初沈殿池内にはこの写真のような掻寄機が設置されています。掻寄機は自転車のチェーンのような構造をしており、ゆっくりと回転しています。また、このチェーンには砂を運ぶための容器が取り付けられいて、底に沈んだ砂などの重いものをゆっくりと一箇所に集めます。 |
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ポンプ井(ぽんぷせい) |
沈砂池で砂とゴミを取り除かれた下水は、ポンプ井に流れ、ここから大型のポンプにより、
地上の高さまでくみあげられ、次の処理施設(最初沈殿池)に自然に流れるように運ばれます。 |
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(写真)地下に流れる下水をくみ上げる汚水ポンプ(ポンプ室内) |
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最初沈殿池(さいしょちんでんち) |
ここでは、汚れた水を約2時間程度かけて静かに流し、小さなゴミやドロを沈めて(これを「沈殿(ちんでん)」といいます。)沈殿物と、うわ水に分けます。
沈殿物は、掻寄機(かきよせき)とよばれる機械で一か所に集められます。また、うわ水は次の池(反応タンク)に送られます。最初沈殿池を通過することにより下水の汚れの約50%程度が取り除かれます。 |
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(写真)最初沈殿池
最初沈殿池からは強い臭いが発生するためコンクリートで全体が覆われています。
・最初沈殿地の概要 大きさ 幅:10.3m×長さ:40m×深さ2.8m 滞留時間 約2時間 |
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反応タンク(はんのうたんく) |
ここでは、活性汚泥(かっせいおでい)と呼ばれる目に見えないくらい小さな生物(これを「微生物(びせいぶつ)」とよびます。)がたくさんいるドロと最初沈殿池から送られたうわ水を混ぜて、汚れを沈みやすいかたまりにします。
下の写真が活性汚泥の中にいる微生物たちです。 |
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(写真左)ユープロテス(大きさ:0.1~0.2mm)
(写真中)エピスティリス(大きさ:0.025~0.05mm)
(写真右)クマムシ(大きさ:0.5~1.7mm) |
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原理
川にはもともと水をきれいにする能力があります。これは、川の底などにある石や泥などに付着した微生物が川の中の汚れを食べることにより水がきれいなるのですが、反応タンクでも同じ原理で下水をきれいにしています。
川と違うのは、川より汚れた水を短時間できれいにするために、たくさんの微生物を用いているところです。また、微生物が活動しやすい環境を作るために送風機を使用して大量の空気を反応タンク内に送り込んでいます。
下水の汚れを食べた微生物はどんどん増えていきますが、微生物が活動しやすい条件を維持するためには反応タンク内の状態をいつも確認、監視する必要があります。このため、反応タンク内には、内部の状態を測定するための計測機器(SVI計、DO計など)が設置されています。
計測された値は中央監視室で監視しています。 |
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(写真左)反応タンク上部 反応タンクから出ている配管は、反応タンク内の気体を集めて
脱臭設備に送る配管です。
(写真右)脱臭設備 反応タンクや最初沈殿池から集められた気体は、この機械で臭いを
取り除いたあとに外部に放出します。 |
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(写真左)反応タンクを開けたところ
茶色の部分は汚れた下水を食べる微生物のかたまり(活性汚泥)です
(写真右)反応タンクに下水が流れこむ様子
写真左側の開口部から下水が流れ込み、活性汚泥と混ざり合います
・反応タンクの概要 大きさ 幅:10.2m×長さ:60m×深さ:7m 滞留時間 約7時間 |
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最終沈殿池(さいしゅうちんでんち) |
ここでは、反応タンクから送られた水をゆっくり流して、活性汚泥を沈めて、きれいな水を取出します。
反応タンクから送られた水をゆっくり流すことで、活性汚泥は池の底に沈み、きれいな水だけをうわ水として取出すことができます。
原理
反応タンクで処理された水は、活性汚泥が混じっていることから茶色い色をしています。これを約2.5時間かけてゆっくり流すことにより、活性汚泥を池の底に沈ませると、池の表面には、きれいなうわ水が出来ます。このうわ水は、とても透きとおっていて、1m程度下のものを十分見ることができます。
また、池の底に沈んだ活性汚泥は、掻寄機(かきよせき)とよばれる機械で一か所に集められ、反応タンクの入口に戻されます。
・最終沈殿地の概要
大きさ 幅:20m×長さ:53m×深さ:3.1m 滞留時間 約2.5時間
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(写真左)最終沈殿池
きれいになった水はこの池を手前から奥側にゆっくりと流れていきます。
写真には写っていませんが、池の両側上部にはさらに細い水路があり、写真中央の池
からうわ水だけが溢れでて細い水路に流れこむようになっています。
(写真右)最終沈殿池の内部(水を抜いたところ)
電車の軌道のように見える部分が、最終沈殿池内部に設置されている掻寄機です |
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(写真左)最終沈殿池には活性汚泥が沈むため、沈んだ活性汚泥を集めるために掻寄機という機械
が設置されています。
(写真右)掻寄機を動かすためのモータ及びチェーン |
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塩素混和池(えんそこんわち) |
最終沈殿池からとりだしたきれいな水の中には、他の生物に悪い影響を与える細菌類がたくさんいて、このまま川に放流すると川を細菌類で汚してしまいます。そこで、薬品(次亜塩素酸ソーダ、漂白剤のようなもの)を使用して消毒し、安全な水にしてから川に放流しています。 |
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(写真左)塩素混和池 手前側の配管から処理水に次亜塩素酸ソーダが処理水に注入されます
(写真右)塩素混和池の水路 |
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(写真)塩素混和池から放流口に向かう水路に流れ出す部分 |
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放流口(ほうりゅうこう) |
きれいになった水は、放流口から元荒川に放流されます。 |
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(写真左)放流口ゲート ー このゲートからきれいになった水が元荒川に放流されます
(写真右)放流口から下流の様子 - 水中に水草がたなびき、とても清らかな流れです |
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